ファーストステップ

日曜日である。

毎週がシャトルランみたいなもので、月曜から金曜にかけて向こう岸までたどり着き、土日に一休みをしたのなら、また月曜から金曜にかけて元いた岸まで戻りゆく。

このままでは同じことの繰り返しである。

 

両の手のひらいっぱいに山と積んであった砂金が指の隙間からさらさらとこぼれ落ちるみたいに、限りある時間は静かに少しづつ失われてゆく。

この世に生まれ落ちた我が魂は、儚い我が身を使い古して、電源が切れて再起動しなくなるその日に向かって、夢のような世俗の日々をスタコラと走り抜けてゆく。

 

そんなこんなでダイエットすることにした。

 

遠い目をしつつ海岸線を眺めて世の無情を思いながらぼーっとしているのもまた一興である。 波の音を聞きながら砂浜に寝そべって星空を見やり、新たな思いに胸を焦がすのも一興である。

 

ところで、「あーあ」というため息で人の世の不思議をかこち、寝転がっているだけでは、外見上ただの豚と変わらんな。ブヒブヒ言いながら飯を探してそこらをクンクン嗅ぎ回っている豚と、手持ち無沙汰でスマホを持ちながら Youtube のおもしろ動画を探し回っている人間と、大差ないじゃないか。

 

一般的サラリーマンの平均的日常のサイクルから転がり出て、新たなるアトラクションに向かうべく志を新たにしたつもりだった。

みんなでコーヒーカップに乗り込みワーワー言いながらグルグル回って、ゲラゲラ笑って、はい、めでたし、だったところを、一人カップから飛び降りて、手を交差しながら中止だ中止と叫んでみたのだった。

夜空にひかる星を指差して、ファイトー!いっぱーつ!と叫んでみたのはいいとして、はて次に何をしたらいいんだっけと途方に暮れていたのだった。

 

そんなこんなでダイエットすることにした。詳細はtodoでいいや。